両国国技館のメインでバカがテーマになる日

アマとプロで2日連続“いつどこ権”行使を目の当たりにするというね
鈴木健.txt 2026.09.22
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9月20日はの豪雨の中、DDT後楽園ホールへ。メインのKO-D無差別級選手権試合、MAOvs阿部史典はまさに2人でしかクリエイトできない作品。ライバルとは、単に勝敗を競うだけでなく同じ価値観を持った者同士だからこそ表現できることを、そのジャンルを通じて生み出す関係性を言うのだと思った。

肉体のパフォーマンス能力とセンスのどちらが欠けても形にはならないプロレス。逆に言うと、その2つを備えていれば何百年という歴史を重ねてきても、際限なく広がりを見せることが可能だ。

アントニオ猪木の代名詞である卍固めも、現代プロレスの解釈ではこのような形で応用編を生み出せる

アントニオ猪木の代名詞である卍固めも、現代プロレスの解釈ではこのような形で応用編を生み出せる

ただ単に奇想天外なことをやればいいというわけではなく、ちゃんと勝負を競う上での整合性に則ったものでなければ作品とはなり得ない。そこを外さず、2人の競い合いは理にかなった範ちゅうで展開されていった。

公式インタビューをやった時、阿部史典がDDTの最高峰に立つ世界線を見てみたいと思ったが、やっているうちに楽しくなったり「チクショーッ!」と思ったりすることで全神経がそちらへ向かうがゆえエクスタシーを覚えるチャレンジャーに対し、MAOは同じように楽しみながらも最終的に勝負として落とさぬ“余白”がある分、チャンピオンだった。代替わりしても、やっぱりDDTは文化系プロレスなんだよな、ちゃんと。

阿部のお卍固めを自ら倒れて崩すや「外道クラッチからブリッジするやつ」という名称のエビ固めでスリーカウント奪取

阿部のお卍固めを自ら倒れて崩すや「外道クラッチからブリッジするやつ」という名称のエビ固めでスリーカウント奪取

MAOvs阿部の世界観を味わい、満足度の高いメインイベントだった…と、これで本日は終了と思いきや、ここからさらなるドラマが待ち受けていた。DDTには「いつでもどこでも挑戦権」という保持している者にとってはとても都合のいい制度がある。

いつでもどこでも挑戦できるから、チャンピオンが試合を終えた直後に入っていき「今、使うぞーっ!」と宣言すればタイトルに挑戦できる。WWEでいうところの「マネー・イン・ザ・バンク」と同じ位置づけだ。

観客としては、まさかここでもう一試合タイトルマッチが見られるとは!となるし、またすでに試合を終えホッとしているばかりか体力を消耗したチャンピオンが絶対的不利な状況で始まるので、突然訪れるスリルでもある。その“いつどこ権”を持っていた髙木三四郎が登場し「MAO、両国の続きをやろうぜ」とほくそ笑む。あの時も、上野勇希とのタイトル戦に勝ってベルトを獲ったばかりの新王者のスキを狙った。

いつどこ権の行使を宣言した髙木だったが…

いつどこ権の行使を宣言した髙木だったが…

そこで退けられ権利を使っちゃったにもかかわらず、そのあとにまだ行使されずに残っていたいつどこ権をクリス・ブルックスより強奪し、一番有利なタイミングで出てくるあたり、さすがに抜け目がない。ところが、ここからさらに話がややこしくなる。

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