縁に恵まれなかったことが、その先の縁へとつながっていく

川島道行10周忌ライブと同時刻に後楽園ホールで、有明のステージへ向けるつもりだった熱量を言葉で放つ
鈴木健.txt 2026.10.10
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生きている間に何度かは「こんな時ほど体が2つあれば…」と思うことがあるはず。私にとっては、10月9日という日がまさにそれだった。

この日は、BOOM BOOM SATELLITES・川島道行さん11回目のご命日…つまり10周忌にあたる。そこでTHE SPELLBOUNDとして活動する盟友・中野雅之さんと、その遺志を受け継ぎヴォーカルを務める小林祐介さんがTHE SPELLBOUND×BOOM BOOM SATELLITESという形でライブをおこなう。

BOOM BOOM SATELLITES・川島道行(2012年12月6日、渋谷CLUB QUATTROにて撮影)

BOOM BOOM SATELLITES・川島道行(2012年12月6日、渋谷CLUB QUATTROにて撮影)

今年の2人の活動は、まさに10・9へ向けたプロジェクトとして進められてきた。当然ながらライブの日程が発表されると、オフィシャル先行の段階で動きチケットを押さえた。10周忌という特別な一日であり、普段のライブでもBOOM BOOM SATELLITESのナンバーは演奏されているものの、やはり意味合いが違う。

THE SPELLBOUND×BOOM BOOM SATELLITESの中野雅之(左)と小林祐介(写真は8月24日の歌舞伎町タワー無料ライブより)

THE SPELLBOUND×BOOM BOOM SATELLITESの中野雅之(左)と小林祐介(写真は8月24日の歌舞伎町タワー無料ライブより)

この日に関しては、まさに現場へいることに意義がある。ところがそれからしばらくし、GLEAT後楽園ホール大会の同日開催が発表された。これは完全に自分のミステークだった。

“10・9”といえばプロレス界的には、伝説として今なお語り継がれる新日本プロレスvsUWFインターナショナル全面対抗戦が1995年に東京ドームで開催された日である。GLEATでは旗揚げ以来、その歴史に思いをこめて後楽園ホール大会をおこなってきた。もちろんそれを知っていながら、THE SPELLBOUND×BOOM BOOM SATELLITESのチケットを押さえる時は、正式決定前とはいえ完全に頭から離れていたのだ。

GLEAT的に後楽園はビッグマッチであり、YouTube公式chにおける生配信が予想される。現在、そのコメンタリー実況をやらせていただいている身としては何よりも優先すべき案件だ。

この日も10・18渡辺壮馬&11・15石田凱士闘道館イベントの告知及び予約受付をおこなったのだが、GLEATさんの方でポスターのディスプレイまでしていただき、ありがたかった

この日も10・18渡辺壮馬&11・15石田凱士闘道館イベントの告知及び予約受付をおこなったのだが、GLEATさんの方でポスターのディスプレイまでしていただき、ありがたかった

それがわかった瞬間、ライブがおこなわれるSGC HALL ARIAKEは諦めざるを得なかった。奇しくも3ヵ月前、プロレス界としては初めてGLEATが進出した会場である。

私はこうした場合、いけなかった方に対し後ろ髪を引かれるような心情を持たない。実際は努めてならぬべく自分を仕向けているが、巡り合わせとはそういうものだと解釈する。きっと、川島さんの10周忌の場に立ち会う以上の意義が後楽園の方にあるはずだと。

これは、今までプロレス界へ携わる中で何度となく「うまくいかない」事例を見て来たことでついた習性なのだと思う。たとえば選手自身、あふれ出んばかりの思い入れを持った相手との試合が組まれながら、ケガで流れたとする。

当然、実現しなかったことへの悔しさや悲しさは計り知れない。ただ、一方では改めて形になる日に向けての物語がそこから始まる。

縁に恵まれなかったことが、その先の縁へとつながっていく。そこが点ではなく線として続くプロレスのジャンル性だ。

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