“キセキ”の最後のピース
10月17日、工藤めぐみ40周年記念大会開始1時間前に気絶から意識を戻し、シャワーを浴びてタクシーに飛び乗る。幸いなことに、国立代々木競技場第二体育館は普段だとバスでいく距離なので、10分ほどで到着する。
まず何よりも確認したかったのが、グッズ売店にちゃんと公式プログラムが陳列されているか。お気づきの方もいたと思われるが39.1℃の熱を出しながら製作にあたったのは、この大会のパンフレットだった。
可能な範囲でギリギリの締切となる「当日会場納品」。一応午前中着とはしてあるものの、15日夜のデータ入稿から印刷にかけられるのはわずか1日。輸送機関の都合等も含め、間違いなく間に合うという保証はない。
本当に最悪のケースも考えられたため、事前の告知もできなかった。自宅を出る直前、デザイナーさんから「佐川急便に問い合わせたところ、11時に納品完了とのことでした!」と連絡を受けたが、自分の目で確かめるまでは一息つけない。
入り口を抜けてすぐに大会公式グッズ売店へ…「キセキ~Still Keep On Running」の表紙メインタイトルが飛び込んできた。よかった、キセキ達成である。
ずっとレターでも「奇跡を起こすための作業」と書いてきたが、それはこのタイトルにかけたものだった。もちろん大会としては“軌跡”と“奇跡”のダブルミーニング。
軌跡は言うまでもなく工藤めぐみ40年の歴史、奇跡はここで走り続けてこられた事実とタイガー・ジェット・シンを呼べたこと。パンフレットは、それらを一冊にまとめたものであり、いわば今回の“キセキ”最後のピースだ。
それだけに間に合わなかったとしたら、大問題だった。だが、もとから“キセキ”をテーマに据えていたのが、常識的には不可能なものを可能とさせることにつながったのではないか。
では、何が「奇跡」だったのかを明かそう。