リアリティーによって醸成されるリアルの刺さり具合

もはやマッスルはササダンゴの想定を超える場として確立されている
鈴木健.txt 2026.10.02
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ちょっとビックリしてしまうのだが、2004年10月13日に「マッスル」がスタートし、もうすぐ丸22年となる。その間、一度はマッスル坂井の引退で幕を閉じるも、両国国技館に進出したり、ひらがなになったりコロナを乗り越えたりと、時代と世代の写し鏡となって続いてきた。

2010年10月6日と、2020年9月7~9日の2度にわたり「終了」するも、それでもこうして復活した。ざっくり言ってしまうとDDTがどんな体制になり、どういうプロレスが主流になっても必要な器…そこがマッスルの存在意義なのだと思う。

「ひらがなまっする」の時代も、当時の「これから伸びゆく若い世代」が普段のリングでは発揮しきれぬポテンシャルを表現することで、自己発見につながった。KONOSUKE TAKESHITAも上野勇希も、平田一喜も「みんなで一つのものを作る」に向き合ったあの経験は、プロレスラーとしての自身を確立させる中で大切な宝物となり、今も残っているはずである。

だからこそ、その次の世代にも経験させるのは必須科目と位置づけてもいいほど。時代とともに顔ぶれは変わっても、プロレスのリングには“血筋”というものが脈打っており、それを選手自身が実体験することでDDTの描くプロレスとはなんたるかを改めて学べると思うのだ。

D GENERATIONSの選手たちにとって、今回の「MUSCLE &」はDDTの根幹の部分を味わえるという意味で胸躍るものだったはず。DNA世代の「まっする」と比べると、オープニングVにおける各人のセリフ回しがいかにも未経験っぽく、それが逆に「マッスル」初期の空気感を蘇らせた。

「日本チャンピオンシップ研修所」…略してチャン所の里村明衣子所長はアイドルレスラーコースの講師

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極悪レスラーコース専任講師の上野“BADASS”勇希先生の姿は男色先生いわくみなみかわさんがモチーフとのこと

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ミステリアスレスラーコース専任講師として登場した新日本プロレスのエル・デスペラード

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だが、ひとたびオーディエンスの前へ出ると、いつもの自分とは違う自分をちゃんとまとっている。そして、その中へ一人入る平田の安定感に圧倒されもする。

今回の「#マッスル的な何か」は、おそらく演者・武知海青のバリューにフォーカスするストーリーが展開されると予想されていた。現時点でもプロレスラーとして、DDTの仲間として受け入れられているが、ではその先の立ち位置をどう示すべきなのか。

そこが見えていなかったから、そのとっかかりの場としての「MUSCLE &」なのだと。これまではプロレスラーと、他ジャンルのスペシャリストが絡むことで独自の世界観を描いてきたマッスルだが、武知は両方を備えている人間。それでこそ、彼にしかできない何かが形となり得る。

そんな期待を持っていたのだが、直前になって武知が欠場することに。本人の無念さは、計り知れないものがある。

ひらがなまっするでは上野が3DAYS初日に高熱で欠場し、急きょ透明人間が代役を務めた。その時、スーパー・ササダンゴ・マシンは以下のように語っている。

「代役を立てると、その代役が頑張ったって評価されるでしょ。僕が見てほしいのはまっするのメンバーみんなだから。上野の対角線上に立っている人間も評価されて輝くべきだと思ったので、代役のアイデアは僕の中にはなかった。そもそも上野を盛り上げるためという前提があったし、日替わりメインイベンターが輝くには、相手は上野だろう。だから上野の代わりはない。ならば透明人間だっていうのはすぐ浮かびました。それがむしろDDTらしいじゃないかって」

結果、その3日間は台本を超えたドキュメンタリーとなり、リアルにあふれた作品となった。こうした成功体験がありながら、今回同じようにしなかったのがササダンゴの凄いところだと思うのだ。

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