パッケージプロレスから個の“完パケスタイル”時代へ
10月22日、全日本プロレス後楽園ホールへ。気がつけば平日の満員が当たり前の風景となっている。この時代、もっと評価されてしかるべきことだ。
旗揚げ記念日ということで、三冠ヘビー級王座防衛戦に臨む宮原健斗はインターナショナルヘビー級、PWFヘビー級、UNヘビー級の3本のベルトを体中に巻いて登場。こういうディテールは重要である。

3本のベルトのうちUNヘビー級を腰に巻く宮原
ちなみに三冠ヘビー級初代王者のジャンボ鶴田はその時点で第18代インター、第15代PWF、第28代UN王者だったため、独立した王座として数えると現在の宮原は第93代インター、第90代PWF、第103代UN王者となる(100代王者は青柳優馬)。このように改めて換算すると、3本のベルトとも長い歴史を重ねている実感が味わえる。
昨年9月23日に斉藤ジュンから通算7度目の三冠獲得を果たした以後、この日で10度目の防衛戦。鈴木秀樹が言うところの「究極のワンパターン」とされる宮原健斗のプロレスは完成形の域に達しており、相手が誰であろうとみんなが求める自分の闘いを提供し続けている。
よく「全日本プロレスは全部のプロレスが一つのリングで見られるから“全”日本」と言われる通り、スーパーヘビー級のぶつかり合い、ジュニアらしいスピーディーな攻防、鈴木秀樹のような技術をしっかり体現する者もいれば他団体やフリー勢の参戦により他のカラーも内包されている。そんな中、観客は全日本を見にいくと同時にそれとは独立した宮原のプロレスを求めてチケットを買う。
武藤敬司時代の全日本は“パッケージプロレス”と称されたが、昨今は興行全体ではなく個人が自身の見せ方として完パケのスタイルを確立し、それを提供し続ける時代になったと思う。その代表的な存在が宮原であり、黒潮TOKYOジャパンだ。
カードのバリューに左右されることなく、その選手をライブで見るため、あるいは一体化するために観客が集まる。ハルク・ホーガンもリック・フレアーも、そういう存在だった。
そこまで確立された存在だからこそ、では誰がそれを切り崩すかという興味により相手選手が応援される。特に前回までのV9に関しては、そういう空気感の中で防衛戦が続けられてきた。