この日、50歳同士のデスマッチを見た小学生の中からいつの日か――
8月23日、闘道館イベントから都営三田線に乗り水道橋の後楽園ホールへ。開始5分前に到着すると、リング上には登坂栄児社長と2人の男の子がいた。そうだった、大日本プロレスでは毎年夏休みに「小学生職業体験」を実施しており、スタッフがやる仕事を体験できる(夏休みの絵日記のネタにもできる!)という、とても意義のある企画を続けている。

それで登坂社長の前説にも参加し「大日本プロレス後楽園大会、スタート!」を一緒にやる。ほかにもリングアナウンサーでは選手をコールし、第1試合に出場する両チームの選手とともに入場、セコンドを務める子もいた。

観客の皆さんも温かいので、チビっ子たちを盛り上げるために歓声や拍手を送る。そしてそのノリが、ちゃんとこの日の大会の熱量へとつながっていったのだから、子どもたちの存在は大きかった。
もっとも、それを抜きにしてもこの日は“勢いがあった頃のダイニッポン”の雰囲気を久々に感じた気がする。前回の後楽園でおこなわれたアブドーラ・小林vs山下りなのBJW認定デスマッチヘビー級戦で発生したグルーヴが一過性のものではなく、連鎖したのだと思えた。
あの時は、山下が大日本の最高峰に挑戦することで、ハレとケの“ハレ”になったという要素が多分にあった。でも、それを真正面から受け止めた小林の支持も高まり、加えて間髪入れず次期挑戦者に名乗りをあげたのが伊東竜二だったのも、期待感をハネ上げる要素だった。
小林、伊東といずれも50歳。デスマッチという体への負担が外傷的にも内傷的にも重いスタイルをこの年齢で継続するだけでなく、タイトル戦線に絡むとあれば長く見てきたファンにとっては思い入れが深くて当然だし、若い世代の選手から入った層にも刺さる人間力を誇っている。奇しくも、先日おこなったインタビューでDDTの現役高校生レスラー・佐藤大地からプロレスの入り口がかつての小林vs伊東戦と聞いたばかりだったので、一人の少年の人生を変えた闘いがリアルタイムで見られることの因果律を味わわずにはいられなかった。