くいしんぼう仮面取材・編集による「生き様インタビュー」製作秘話
本来は聞く側、そして伝える側の私ではあるが、近年はインタビューを受ける(インタビュイー)機会も増えた。自分の考えや告知したい情報をとりあげていただくのは、本当にありがたい。
『髙山善廣評伝 ノーフィアー』や小林邦昭さんとの共著『虎ハンターの美学』を発刊した時は、カクトウログさんをはじめとする皆様にご協力いただき、書き手としての本意を発信できた。アメブロのメッセージボードに各リンク先が貼られているので、読まれていない方はぜひご一読ください。
そうした中、今度はプロレスラーが聞き手となってインタビューを受けたものが自主出版された。ご存じ、くいしんぼう仮面選手(以下、くいさん)である。
ここでいきなりだが、まったく別の話を。今(以下、くいさん)と書いてふと思い出したのだが、かつてマッスル坂井執筆による携帯サイトのコラムで「○○○○」とフルネームで書いたあとに「以下××」とニックネームを続けながら、そのあとの文章で一度も××が出てこないまま終わるというアヴァンギャルドなテキストがあった。いつか自分もやってみたい。
くいさんは10年前にも「生き様インタビュー」という書名のインタビュー集を製作しており、その時と同じメンバーにもう一度話を聞こうと思い立った。ただ、まったく同じよりは何かしらのプラスアルファがあった方がいいのではと「くいさん、よろしければオマケとして僕の話を載せるのはどうですか?」と提案。
なぜなら、普段からくいさんは必要以上にプロレスマスコミへ対する関心を向けてきていたので…いや、関心というよりは自身がプロレスラーとしてデビューした時の誌面における厳しい批判(「プロの体とは思えない」など、あまりにドストレートな記事)をいまだ根に持ちつつ、その一方では「今では当然の評価だなと思います」と認めているところもあり、そんなジレンマを抱えつつこの業界を生きてきた人物なのだ。
なのでプロレスマスコミのお仕事に関しては、他のレスラーよりも食いついてくる(くいしんぼうだけに)。ならば、日頃から抱く疑問や疑念、確認したいことなどをぶつけていただき、それに答えようというわけだ。

顔で笑って心ではプロレスマスコミ対する根深い憤りをデビュー時から持ち続けてきたプロレスラー、くいしんぼう仮面選手(48)と私。ちなみに私はくいさんに対し、そのような上から記事を書いたことはございません
6月24日午後1時、くいさん指定のJR新宿駅近くにあるスターバックスへいくと、すでに外のテラスへ大阪プロレスのジャージーを着たくいさんが仮面とは違う顔で座っていた。雑談のようなインタビューは、そこから1時間半も続けられた。けっこうこみ入った話もしたと思われるし、わりと「ええっ、そうだったの!?」というエピソードも「別に出してもいいよ」とこちらから振った。
開始の時点で「健さん、僕は金にまつわる話が大好きなんで、けっこうお金の話を聞いてもいいですか?」と言われる。そこで週刊プロレス時代、アルバイトの時は時給制だったのがあまりに長時間働き、社員よりもいい額に達してしまうため社員に切り替わったという、週刊誌を出す出版社あるあるの実話とか、某団体のオーナーさんから「これ、とっといてちょうだいねっ!」と強引に袖の下をつかまされたのを後日、郵送でお返しした脂っこいエピソードとかを投げ返す。
もちろんお金の話ばかりではなく、週プロに入ったところからフリーとして活動する現在までを話したのだが、それをすべて載せたらいくらページがあっても足りない。そこは我々がやるのと同じようにくいさんが編集作業を施し、残すべき話をまとめて一本のインタビューに仕上げる…と思っていた。
そしてくいしんぼう仮面によるインタビュー集『生き様インタビュー2026』は、無事完成。ビリーケン・キッド、タイガースマスク、高井憲吾、空牙、さくらえみ、フライングキッド市原、ジ・インテリジェンス・センセーショナル・グランドパッションマスク4号、松井幸則レフェリーと、すべてくいさんとゆかりのある8名に“付録”として鈴木健.txtが加わった全114ページに及ぶ大作だ。
