それでもプロレスラーはポジティブに出力する
9月9日は降りしきる雨の中、歌舞伎町へ。この日はDDTの新宿FACE大会があり、入り前に格闘探偵団・阿部史典選手と落ち合ってDDT公式サイト用のインタビュー取材をおこなう。
今年の6月に闘道館イベントへ出演いただいた阿部選手。それに向けての事前確認の返信がなかなか来ないことがあった。
シビレを切らしそうになったある日、私はmicro KORGとminilogueのシンセサイザー2台が悠々に入るほどのデカいキャリーバッグを引きずるのではなく前方へ押し転がしながら、甲州街道沿いの歩道を歩いていた。それこそ闘道館へと向かう途中だったわけだが、いきなり車道を走るスクーターが右横に停まる。ヘルメットを脱ぐと、阿部史典さん(31)だった。
「LINEの返信、遅れてすいません。OKです!」
それだけ告げると再びヘルメットを被り、はやてのように去っていった。LINEで返信すれば済むのに、なぜこんな手がこんだやり方で…位置的には自分の進行方向と同じ車線なので、後ろ姿を見かけて「鈴木健.txtだ」と認識したことになる。後日、よくスクーターで走っていて予期せぬところで目撃できたものだと言うと「背後からでも健さんだとわかるオーラを発していました」と笑っていた。
その意趣返しというわけでもないのだが、この日は待ち合わせ場所の新宿FACE1階へ着く直前、TOHOシネマズの角を右に曲がるところでキャリーバッグを引きずりながら前方を歩く阿部選手を発見。そこから十数秒間、気づかれぬまま到着する。向こうがこちらへ気づいたように、こちらも阿部史典オーラを感知したことになる。

Kabukicho Live Cameraに映り込む阿部選手と私。この時点で阿部選手はまったく気づかぬまま集合場所に到着
そんな阿部選手と話す時は、だいたいがバトラーツとスポルティーバを中心とした名古屋界隈に関することとなるのだが、今回はDDT9・21後楽園ホールでKO-D無差別級王者・MAOへの挑戦を控え、それに向けてのインタビュー。新宿FACE裏向かいにある年季の入った喫茶店「コーヒーショップクール」へと移動した。

写真は2025年3・20後楽園ホールでKO-Dタッグ王座を懸けて対戦した時の阿部とMAO。この時は阿部&野村卓矢がMAO&To-yを下しタイトル奪取に成功
ここで選手をインタビューするのは2回目であり、2012年8月18日に竹下幸之介が高校生デビューを果たした直後、話を聞いた場所だから14年ぶりとなる。同店は分煙がされていないザ・喫茶店という趣き。
私は喫煙者でないにもかかわらず、昔はこういうもんだったよなあとレトロ感の方が上回り、まったく気にはならなかった。このモクモクとした空間からジョン・モクスリーのいるAEWに竹下が羽ばたいていったことを思うと、なかなかの大河ドラマである。
ところが…取材を始める直前、阿部選手に不測の事態が発生。これがいつでもポジティブな格闘探偵員でさえ車田正美先生ばりの「ズドーン…」という擬音が聞こえてきそうなぐらいに、落ち込む案件(ネガティブな話ではないのでファンの皆様はご安心を)が襲いかかった。